Home    
若かりし日の私の非常識
Filed under .

私の最初の就職は、学生時代に某大手スーパーの本社でアルバイトをした事による所謂コネ入社ってやつである。自分で言うのもナンだが、裏表なくそれなりに真面目に働く私は人事課の社員のお目に留まり、大学4年生になる前の「そろそろ就職活動かぁ」という時期に、社員の方より「良かったらうちの会社に来ない?」という有難いお言葉を頂きそのまま入社したのであった。 

1.jpg

一般的にコネ入社というと多少なりとも肩身の狭い気持ちになるであろうが、親が社長や役員をやっているワケでなく、他に強固なコネを持つ親戚や知り合いがいるワケでもない私が、自らの仕事ぶりにより企業からスカウトされた、言ってみれば「セルフコネ」、何に恥じる事があろうかとどちらかと言えば堂々とした気持ちで入社式に臨んだ事を覚えている。今思えばかなり図々しいが・・。
 
そんな私の配属先は、アルバイト時代の働きもあり「営業企画課」という中々立派な名称ではあったが、実際は、社長の思い付きをどうにかする何でも屋的な部署で、就職氷河期時代でもなく、仕事に対して明確なビジョンも向上心もないノーテンキな私にとってはただ「結婚するまでの腰掛け」位の気持ちで毎日コピーを取ったり稟議を回したり文書をワープロで作成したりと上司に言われた事のみをやり、周囲の同年代に近い同僚とくだらないおしゃべりをしながらノホホンと働くお気楽OLな毎日であった私は、ぴったりな部署でした。 

そんな調子で数年が過ぎてゆき、時代的には少しづつ景気が悪化している時で、入社時にはまだまだ余裕があった会社も少しずつ人員やコスト削減の方向に進んでいき、本社勤務の社員は、繁忙期にのみ数日「店勤務」に行かなくてはならない制度が、入社2年目にはその期間がなんとお中元・年末年始時期にそれぞれ一か月超えの長期にも及ぶものとなっていった。

元々「接客業」が苦手な私にとって(上司にも言われたがじゃあなんで小売業に?だからコネですよコネ!)慣れないお客様への対応や打っても打っても果てしなく客が並び続けるレジ打ちは苦痛以外何物でもなく、毎回その時期が近付いてくると、長打のお客様が並び必死でレジを打つ私のレジのレシートの紙の色が赤くなり(レシート交換が近いというサイン)懸命に交換するも中々うまくロール紙をセット出来ずにお客様から罵倒される・・という悪夢を見るようになっていた。

そんなこんなでもうすぐ入社丸5年が経とうとしていた年、あぁ今年も12月中旬から1月中旬まで店勤務が始まる、憂鬱だなぁと思っていたまさにその時、私に対して所属長が目を疑う文書が通達されたのです。

それは「お正月1日には初商手当(結構な額だった)が出るので、本社従業員は1日には出社しないように」いうものだった。他社でもあると思うが、小売業では年末年始に出勤する従業員を慰労する意味で給料とは別に手当が出る場合がある。イヤイヤこちとら別にどうしても初商手当が欲しい訳じゃないし、そもそも1日のシフトに入らない場合もあるのに、敢えて「1日には出るな」って・・・ヒド過ぎやしないか?えぇ会社さんよ。
これは、本社社員が1日に店勤務をすると経費がかかるので、経費の掛からない日だけ店勤務してね。テヘペロ的な通達なのだ。

こっちだってお店の人と同様に朝から晩まで腰痛になる程毎日レジ打ち業務に励んでいるのに、同じお正月でも手当の出ない2日3日は出勤して手当の出る1日は休むようにって。不平等だ、酷過ぎるーーー!!

この瞬間に、自分が勤めている会社について、それなりに持っていた愛社精神が一気にガラガラと音を立てて崩れていくのがわかった。こんな会社、辞めてやるーー!!
若く愚かだった私は次の日から店への出勤を無断で休むという暴挙に出、心配して電話してきた上司に向かって謝罪の言葉もなく一方的に「辞めます!」と告げたのであった。。あぁ、非常識って恐ろしい。