Home    
2度目の転職と変わらぬ非常識
Filed under .

いよいよ待ちに待った新しい会社への出勤日。会社は宝石で有名な街の駅から歩いて5分位の場所のビルの中にあった。

3.jpg

部屋は幾つかに分かれており、入り口から入ってすぐの所にカウンターがあり、カウンター向こうは事務作業等を行うスペース。奥はガラス張りの部屋となっていて、そこで宝石の鑑定・鑑別作業を行っているようであった。
あぁ、早くあの部屋で鑑定作業を行えるようになりたい!
同じタイミングで入社した女性も何人かおり、まずはお互いに自己紹介をする。

初日は、会社の中心となって働いているらしいベテラン風の40代位の女性に会社組織の説明や内部の案内などをして貰い、翌日から実際の業務を行うこととなった。
いよいよ自分が希望し憧れていた仕事に携わる事が出来るんだ・・!
翌日もウキウキした気持ちで会社に出勤したが、まずはこちらの業務からお願いします、という事で、パソコンにて宝石の鑑定・鑑別書を作成する業務を教えて貰った。

パソコンの画面には所定のフォーマットが表示されているので、そこに入力すべき内容を入力し、指定された用紙で印刷をかけていく。最初に私がその仕事を行った所、内容をチェックしてくれた女性が「素晴らしい!ミスが一か所しかないわ。最初からこんなにミスが少ないというのも珍しいのよ!」と、今思えばまずは誉めて持ち上げようという作戦だったのだろうと思うが、その頃の私はまだまだ世間知らずもいい所で、誉められて気分も良くなりその仕事を一生懸命にこなした。何度も繰り返すうちに段々と慣れてきて、次は何かな?と思っていた所に、入り口のドアが開きお客様が入って来られた。そしてその次に言われた言葉が「お客様にお茶出しをお願いします」との指示だった。

勿論,、お茶出しは前職でもアルバイト時代でも行っていたし、今は研修期間でもあり特に不思議にも思わずにその指示に従った。その後も、発送する品物の梱包や伝票書きや様々な雑務を行っていたが、その間もかなりの頻度で来客がありその対応にも追われた。
そんなこんなであっという間に3日が過ぎていったが、最初はお茶出しだけであったが、私たちの指導係の女性より「暫くして慣れてきたら、お客様の応対もして頂きます」という言葉が4日目にあった。そのお客様というのは、宝石や原石の鑑定を依頼しに来る人達で、要はその受付や対応をする担当になる、という話しだった。・・・ってことは、今後は来客対応をするってこと??

一抹の不安が広がり、昼食時に同じ時期に入社した同期の女性に「私達の仕事って宝石の鑑定業務の補助じゃないのかな?確かこの会社の求人募集内容にはそう書いてあったよね?」と話しかけてみた。するとその女性も「私もそうだと思っていたけど。でも最初のうちはしょうがないんじゃないかな。」と。
うーん、確かに今は研修期間ということだろうし、お客様への対応は基本という事で暫くの間はその業務に就くという事なんだろうけど・・・でもなんか違和感が拭えず、怪しいオーラを私のアンテナが雑音を含みながらも受信中。

これは今も変わっていないが、そもそもの性格として曖昧な状態のままでいられない私は、結局そのまま黙っていられず、終業間際に教育係の女性に質問を投げてみた。
「研修期間が終わったら、私達も鑑定業務補助に就けるという事でしょうか?」
すると女性は「いつかタイミングが合えば鑑定業務に就いて頂く事もあるとは思いますが、通常は来客や事務作業をやって頂く事になります。」と。うっそー、話しが違うじゃん!それだったら、今迄アルバイトでやってた業務と同じじゃない。何の為に転職したのさ?そして次の日、私は言ったのであった。「辞めさせて頂きます」と。更にアルバイト先にも電話をした。「私の席、まだあります?」